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◆お茶の国、薩摩
先月末、鹿児島は指宿の地で開催された全国山羊サミットに出席した翌日、ユノカ一行は、カツオの水揚げで有名な枕崎まで車を走らせることにしました。
目的地は枕崎にある野菜茶業研究所。薩摩富士と称される開聞岳を臨んで一本道が続く風景に、数年前に旅したアイルランドの光景をだぶらせながらの小一時間のドライブ。
知覧や枕崎が近づくにつれ、霜よけ扇風機が立ち並ぶ茶畑が広がります。
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◆紅茶研究のメッカ
せっかくの日曜日にもかかわらず、「植物に休日はありませんから」と茶の品種改良等の研究をされている根角厚司さんが温かく迎えてくれました。
枕崎茶業研究所は、日頃愛飲している出雲紅茶の品種である「べにひかり」を生み、最近、花粉症に効果があるメチル化カテキンが多く含まれるという研究で注目されている「べにふうき」を生み出したお茶研究のメッカ。
鹿児島の地自体が全国2位の生産量を誇るお茶の一大産地だという。
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乾燥網棚
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◆お茶の流通事情
「ご存知かどうか。宇治で売られているお茶の数十パーセントは鹿児島産茶葉なんですよ。*1
わかりやすい例でいうと、宇治あたりの気候では、立春から八十八日数えた5月2日頃までに新茶を収穫して出荷できる場所はほんとに限られます。
ですが新茶のニーズは高い。そこで、暖かい鹿児島の地で収穫された茶葉を仕入れ、宇治でブレンドして売ることになるんです。
そもそも、宇治一帯だけの茶葉の生産量なんて全国の数パーセントに過ぎないので、到底需要に追いつきません。」
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生産量の多さの割に鹿児島茶のブランド力は弱いし、県民や茶農家自身も鹿児島がお茶の一大産地であるという意識やプライドも低いのだという。
「それでも、芋しか育たない『のろわれた土地』と言われ続けたシラス土壌の鹿児島にとって、お茶栽培の成功と広がりは救世主だったんです。」
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◆様々なる茶味
「飲み比べてみてください、と研究中の3種の鹿児島産煎茶を注ぎいれてくれました。高級茶だと60度〜70度位、普通茶で80度位のお湯で注ぐのがおいしさを出すこつだとか。
煎茶をじっくり飲み比べてみるという経験があまりないわれわれでも、香り、甘み、苦みなどのテイストの違いを愉しむことができます。
でも、結局商品化されるのは甘みが強くて、色が緑、高温のお湯でも旨みがでやすい深蒸しのものになってしまうんだとか。お茶の品評会でもこうしたお茶ばかりが評価され、お茶農家も作りたがると、少し複雑そうな表情を浮かべます。
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揉捻機
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「それでも、最近は消費者の嗜好の広がりを受け、生産量は少ないけれど少し苦みの強いものや深蒸し以外のお茶を生産する農家もでてきました。
国産紅茶を復活しようなどという機運が盛り上がってきたのもこの10年ですね。」
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焙煎機
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◆国産紅茶の復活
紅茶の国内生産量は1971年の輸入自由化以来激減してきたが、有機無農薬で安全な紅茶を飲みたいという声を受け、鹿児島でも枕崎紅茶や阿久根紅茶などが復活した。
実は、この研究所で生まれた「べにふうき」でつくった紅茶が、先日ロンドンで開かれた国際的な食品コンテスト「ザ・グレート・テイスト・アワード2007」で金賞をとったんです。
知覧の薩摩英国館で飲むことができますよ、と根角さんは顔をほころばせた。
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「べにふうき」は香りのよいダージリン系の紅茶を父に、アッサム系の紅茶を母に持つ害虫に比較的強い品種。英国館館長の田中京子さんが香り高さに感動して、知覧の地で苗から育てることを決心したのが数年前。*2
いくら害虫に強い品種といっても有機無農薬で紅茶をつくるにはとにかく手間がかかります。それでも、安全でおいしいのもを飲んでもらいたいし、国産でも芳醇な香りの紅茶ができることを知って欲しかったと、田中さんはいう。 |
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常飲する出雲紅茶が苦みの少ない番茶風の素朴な香りでどんどん飲める感じなのに対し、英国館で入れて頂いた「べにふうき」の紅茶は、淡いオレンジ色、品のよい香りと程よい苦みで特別なときに味わいたい感じのものでした。
紅茶であれ緑茶であれ、画一化された味わいのものだけでなく、いろいろな味わいのものが、安心安全な国産ものでもっと流通するようになればいいのですが・・・との根角さんの言葉に、深くうなずきながら薩摩をあとにするユノカ一行でありました。
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*1 宇治茶を、「京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で、京都府業者が府内で仕上げ加工したもの」と京都府茶業会議所では定義しているので、鹿児島茶葉で宇治茶ブランドを名乗ることはできません。が、宇治で売ることは可能です。
*2 紅茶名は「夢ふうき」で、知覧にある薩摩英国館の田中京子館長を中心にお茶の栽培から加工まで手づくりで行っています。稀少で入手は超困難。
■ 薩摩英国館 http://satsuma-eikokuka.ocnk.net/ |
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ユノカ・サイトへ
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